当店名物店員okayanプレゼンツ「ヨタバナシ」。日々のこと、お店のこと、ワタクシのこと、あんなこと、こんなこと、ちょこちょこ書いてます。

February 14, 2013

1986年2月14日。

[ ワタクシゴト ]

1986年は2月14日。
中学三年の僕。

この日教室ががら〜んとしてたのは、いくつかの地元私立高校の受験日が重なっていたからで、担任の先生もそれぞれ引率などがあって......私立を受験しなかった僕は、その他何人かの.....この日の受験とは関係のないクラスメイトと一日自習....目前に迫った自分自身の高校受験のために勉強をしていた。

されど2月14日はバレンタイン(笑)。

それはそれで年頃の中学三年生....チョコレートのことが気にならないと言えば嘘になるというか、えぇ、もちろん大いに気にはなりつつ......みんな受験無事に終わったかねぇ?なんて話ながら放課後の教室は早い夕暮れ、弱々しくも柔らかい日差し.....って、こんだけ人がいなければ、いつまで待っててもチョコレートなんかもらえっこないしなと(苦笑)、実は中学一年二年ともに全くチョコレートをいただくこともなくすでに最上級生.....そして、僕の好きな女の子は、この日、本命の私立の受験に行っているのだもの.....

okayan.....これ、預かってて.....

振り向くと僕のその好きな彼女の.....親友が小さな四角い箱を.....ハイ、と手渡してくれて.....僕はホントに飛び上がってそこら中走り回りたいくらいうれしかったけれども.....きっとちょっとテレて、あ、ありがとう、なんて言ってきっとそそくさとカバンにしまって.....でも帰り道は宙にも浮かぶような気持ちで.....そしてうちに帰っても、絶対に「チョコレートをもらったこと」をおかんにはナイショにしてたに違いない(笑)。

はじめて.....ホントに好きな人にもらったチョコレート。

でもね、それが「本命のチョコレート」じゃないことくらい、ホントにホントによくわかってたんだよと、だって、彼女が好きなその人は.....彼女の届かないところにいるんだからさと、そんな彼に片想いしている.....彼女に激しく片想いをしているだけなんだよなと、えぇ、そんなの.....それはそれでふつうすぎて慣れっこだったもんな、中学生の僕は(笑)。

部活を引退した中三の秋、その頃同じ班になって、彼女の席は斜め後ろ....ちょこちょことおしゃべりしたり、わりに成績だって悪くなかったから勉強だって教えてあげたり.....冬の日寒い日土曜日は彼女の苦手な凍りつくよに冷たい瓶牛乳だって....平気なふりしてのんであげてたし、そうやって僕は彼女をホントに好きになってしまったし、その気持ちっての、少なからず彼女にだって伝わってたと思う.....だから、そのチョコレート、完全に「ギリ」というわけでもなかったろうなと.....「想いに応えられなくてごめんね」と「小さなありがとう」の印だったのかもしれない、添えられてた小さなカードに、そんなことがしたためられてたと思う。

小さな四角い箱には、小さな四角いチョコレートが10個ほど。

それから自分の公立高校入試まで、なんとはなしに験を担ぎながら、ひとつ、またひとつと.....僕はひとり、誰にも知られないようにそれをたべた。そうすることで.....またちょっとした験でも担いでたのかもしれない.....最後の1コは、もちろん入試当日の朝、出かける前にぱくりとたべて....それでおしまい。

なんとか無事に受験を終え、ホワイトディから卒業式......最後の最後に、こう見えて(?)当時恋愛に奥手だった僕.....とにかくわかりやすく彼女に想いの丈を伝えたけれど、やっぱりそれは当たり前の様に叶うはずもなく.....そうやって僕の中学生活は、非常にふつうの、じつにありふれた中学生らしく......でもそれはそれなりに悔いなく終わらせられたような.....どのみち遠く離れた高校に進学しようとしているふたり、どっちにしたって叶うわけなかったんだよと......そんな風に自分に言い聞かせたような気もするな、15の春(笑)。

幼い恋がはらはらと散っていくには、誠にふさわしい季節でありました。

そして4月.....高校生になった僕は、新しい生活.....そして新しい恋.....と思いきや、GW明け、学校から帰ってきた僕に届いた一通の手紙.....それは彼女からのもので.....そのあと僕らは文通をはじめ(ってこの話はここにちょっと書いてあります)......時にはいい雰囲気にもなったりして、今度こそは!と期待をすれば、その度奈落の底に突き落とされ、フタタビ立ち上がればまた打ちのめされ.....遠くハナレバナレのふたり、やっぱりいつまでも僕の想いは叶うことなく(苦笑).....ま、そんな諦めもありながらも高校から予備校と、またお年頃のオトコノコでもございましたので、あれこれ他にも多少の色恋もありつつ.....

でも結局彼女が、ずっと僕の中にいた。
それが僕の初恋だったのだなぁと。

あの頃の彼女への想い、そして、それ以上の自分自身へのもどかしい想い.....それなしに今の自分はあり得ないんだよなと、その叶うことのなかったその初恋が....実は一度として叶わなかったからこそ、今はとても眩しく、かけがえなくも思える.....そんなことを思い出してみては、キュンとしながら過ごした42歳のバレンタイン、あー、悪くないね(笑)。

長々とご静聴、ありがとうございました(笑)。

 
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